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秋本理央『風とブーケのセレナーデ』 [音楽]

この曲名を聞いてすぐにあるOVA作品のタイトルが思い浮かぶ人は年齢が比較的高めだと思う。1985年に制作・発売された『幻夢戦記レダ』の主題歌として発売され、作詞は岩里祐穂、作曲は馬飼野康二、編曲は鷺巣詩郎がそれぞれ担当している。歌唱を担当した秋本理央はこれがデビュー曲の新人アイドルだったはず。しかしその後の活動は、少なくとも自分は全く知らない。不思議と記憶に残っていたこの曲を久しぶりにレコードから録音して聴いた。手元にあるのはシングル盤ではなくLPレコードで、音楽集と名付けられた、いわゆるサウンドトラック盤だ(劇伴というかBGMは鷺巣詩郎が担当している)。例によってAmazonで検索したところ『風とブーケのセレナーデ』では該当なし、コンピレーションアルバムにも収録されていない。『幻夢戦記レダ』で検索するとかろうじてサントラCDとDVDが引っかかるがどちらも中古扱いだった。

OVAの記念すべき第一作といえば『ダロス』だが、OVAが商売として成立し得ると作り手、受け手双方に期待させたのは『幻夢戦記レダ』だったんじゃないかと思う。当時はテレビアニメに比べて制約が少なく高品質な作品が作られると本当に夢想していた(自分もビデオを購入したが価格は12000円だった。我ながらよく買えたもんだと思う)。また、アニメ等のファンタジー系作品にストーリーやデザイン面で与えた影響もかなり大きいはずだ。キャラクターデザイン、作画監督を務めたいのまたむつみの絵柄に負うところが大きいと思う。これすらもオリジナルではなかったのかもしれないが。主人公は突然異世界に飛ばされた女の子で、ほとんど水着のような甲冑に身を包み、伝説の勇者として戦う...。今ではギャグにしかならないような設定だけど、当時は新鮮だったし同じような作品が後からたくさん作られた。

アニメ主題歌であると同時に80年代のアイドル歌謡でもあるこの曲は、現在ではいささか古めかしく聴こえる。秋本理央の歌唱も決して上手とは言えないし、それを補うほどの魅力があるわけでもない。なぜ記憶に残っていたかと考えたら、単純に馬飼野康二のメロディが好きなんだよな。彼が手懸けたアニメソングとアイドル歌謡を両立させた曲で真っ先に思い浮かぶのは『見知らぬ国のトリッパー』だ。さすがにあの名曲に比べると分が悪いけど、この曲もなかなか良い曲なんだよなあ、サビの部分とか好きだし。

昔、友人との与太話の中で「アイドル歌謡がほぼ廃れてしまい、その末裔は今やアニメソングの中にしか残っていない」みたいな話題が出たことがある。自分もはっきり思い出せないんだが、主題歌を新人アイドルのデビュー曲とタイアップするという方式、これを最初にやったアニメって何だったっけ...と、久しぶりに『風とブーケのセレナーデ』を聴きながら考えたが結局思い出せずじまい。

今回はカテゴリーを「音楽」にしたがほぼアニメに関する内容になってしまったな。

風とブーケのセレナーデ

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大江千里『REAL』 [音楽]

1985年にEPIC/SONY(現エピックレコードジャパン)レーベルから発売された3rdアルバム『未成年』に収録、作詞・作曲とも大江千里自身が手がけた曲。同時に通算7枚目のシングル曲でもある。手元にある唯一の大江千里のLPレコードであり、今でも好きな曲のひとつだ。

YouTube - 大江千里 REAL

自分は数多くある彼の曲をすべて聞いたわけじゃない。この『REAL』という曲が好きなだけで彼のファンだともいえない。以前(といってもかなり昔だが)職場の飲み会後のカラオケで歌ったら、参加していた同僚の女性がたまたま彼のファンだったらしく、カラオケで歌った男性を見たのは初めてだと言われた。やはりファン層は女性が多かったのかな。

この歌をどうして気に入っているのか、実は自分でもよく分からない。単純にメロディが好きというのもあるが。曲自体はテンポのいいポップスだ。80年代らしいシンセ・サウンドとでも言おうか。シングルとして発売されたのだから当時のチャートを意識した曲調になってるのかもしれない。歌詞の内容は恋愛が終わったあとを描いていて、互いを傷つけあった末の別れから月日が経ち、今はもう他人になった女性に対する、男の側からの心情を歌っている。

よく似た背中みつけるたびに
今でも少し胸が痛むよ
こうして いつか知らない人に
変わる君を きっと許してしまうよ

この曲を初めて聴いたときは未だ恋愛の経験はなく、その後、人並みにいくつかの恋をして、その中には喧嘩別れに終わったものもあった。後悔とも言い訳ともつかない感情がぐるぐる渦巻いて、似た姿を見かけると別人と分かっていても目で追ってしまったり。歌詞に描かれたシチュエーションとは似ても似つかないが、何となく「ああ、そんなもんかもなあ」と勝手に思う瞬間はあった...かな。

曲が収録された『未成年』というアルバムは1991年にCDも発売されたようだが、すでに廃盤になったのか見かけない。他には1991年(アナログ盤は1989年)発売のベストアルバム『Sloppy Joe』、2003年発売のエピック・レコード25周年記念のリマスター・ベスト・シリーズ『The LEGEND』にも収録された。もう一枚、異色なものでは『Live“ghost note”at Motion Blue YOKOHAMA』というライブ盤があって、これは大江千里も含めたピアノ・トリオのインスト集なので歌は無しだ。どれもCDショップやレンタル店ではあまり見かけない。実質的な廃盤扱いなんだろうなあ。
【2013/06/11 22:30追記】最近、他のアルバムと共にBlu-spec CD2で復刻されたようですね。

未成年

未成年

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2013/04/10
  • メディア: CD

なお大江千里本人は現在、ジャズを学ぶためニューヨークに在住しているらしく、日本国内での音楽活動を長期休業中だそうだ。

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井上大輔『STAY-去りゆく夏』 [音楽]

1984年に発売されたソロアルバム『FERMENT』に収録されている曲で、作詞は売野雅勇、作・編曲、歌唱は井上大輔本人が担当している。当時ショート・バージョンとしてシングルカットもされアルバム自体はCDでも発売されたようだが自分が所有しているのはLPレコードだ。レコードは仕方がないとしても今ではCDですら廃盤になっている。手元にあるLPの帯にはCBS/SONY移籍第1弾と銘打たれているが、その後また移籍し同レーベルから発売されたのはこの一枚だけのようだ。

初めてこの曲を聴いたのはたしか高校3年か卒業したくらいだったと思う。決して明るい曲調ではないが聴きやすいメロディと、歌詞の中に描かれた大人の恋がとても印象深く大好きな一曲だった。

若過ぎると見えないものがあると
あなたの
つぶやきがグラスの海
波を発ててゆく
ときめきを通り過ぎて男と女
Stay 愛の意味に気づく

自分も大人になったらこんな恋をして意味が実感できる時が来るのかなあ、なんて青いことを思っていたんだった。昔に戻れるならお前には無理だと後ろから頭を蹴り飛ばしたくなるほど恥ずかしい奴だ。それはさておき。

メロディーメーカーとしての井上大輔はいうまでもなく、一人の歌手としてみても、特に彼の声が自分はとても好きだったが、歌手としての活動は一般にどれくらい浸透していたんだろう。ブルー・コメッツ時代の代表曲『ブルー・シャトウ』を知る世代は当然として、自分も含めたオタクだとむしろ『哀戦士』や『めぐりあい』での歌唱が耳に残っているか。それ以外ではコカ・コーラのCMソング『I FEEL COKE』になるのかな。...そうか、ソロとしてのセールスはあまり成功していたとはいえないのかもしれない。

反対に作曲家としての活躍は周知のとおり。手がけた作品は数多く、調べてみてあらためて驚いた。

  • 『学園天国』、『恋のダイヤル6700』 フィンガー5
  • 『ランナウェイ』 シャネルズ
  • 『二億四千万の瞳』 郷ひろみ
  • 『NAI・NAI 16』 シブがき隊
  • 『ボヘミアン』 葛城ユキ
  • 『(め)組のひと』 ラッツ&スター
  • 『気ままにREFLECTION』 杏里

ざっと挙げただけでもこれだ、良く知られたヒット曲ばかりが並ぶ。さらにアニメ・特撮ソングも含めたらもっと多い。もちろん年齢や好んで聴いたジャンルにもよるが一度も聴いたことがない、という人はいないんじゃないか。しかし例によってAmazonで検索したところ、現在でも新譜として入手可能なものは上にも書いた映画『機動戦士ガンダム』の主題歌『哀戦士』と『めぐりあい』のわずか2枚だけだった。2000年9月には彼が手がけた楽曲を集めた『Daisuke Inoue 21 Memorial Hits~EVER RESORT~』という追悼企画盤も発売されていたがすでに中古扱い。それ以外のソロアルバムなども同様で中古店なりオークションなりを利用しない限り入手は不可能だ。何だかとてもやりきれない。

かなり前になるがこの『STAY-去りゆく夏』という曲を無性に聴きたくなった時、すでにレコードプレーヤーは手放しダビングしたカセットテープも紛失していた。CDで発売されていたなら中古でも良いから入手できないかと調べた際に、とあるサイトに出会った。管理人さん曰く彼は、現在のJ-POPの基礎を築き、日本歌謡界に多大なる功績を残したと言っても過言ではないだろう。今こそ、その功績を再評価するべきではないだろうか…?と述べられている。今回も貴重な資料として参考にさせていただいた。感謝とともに紹介させていただきます。

井上大輔データベース

※どうやらYouTubeにアップされた方がいたようです。消えてしまうかもしれませんが。
ちなみにシングルカットver.です。アルバム収録のロングver.も別の方がアップされてました。

Stay-去りゆく夏 井上大輔('84)

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『機甲界ガリアン音楽集』が届いた [音楽]

長く再発売が行われず破格のプレミアが付いていたと聞いたが、こうして入手できるようになったことを素直に喜びたい。冬木透の手による素晴らしい劇伴、そしてアニメファンの間でも名曲の誉れ高い井上大輔作曲の『ガリアン・ワールド』と『星の一秒』の2曲。これほど優れた音楽がただ埋もれていくのみだったなんて、大袈裟ではなく悲劇だ。音源そのものが経年等で傷んだり紛失したならともかく、版権など複雑な大人の事情とやらが理由というなら到底納得できない。ファンである我々ももっと声を大にして復刻要求をしていくことが重要なんだろうけど。でもなあ、利益を見込めないと判断されたらそれも叶わない。商売は甘くないんだよと切り捨てられるのかね。一体誰に向けての商売なんだか。

届いたCDのパッケージを見ると音源提供:(株)ワーナーミュージック・ジャパン、販売元:(株)ディスクユニオン...となっていた。ワーナーミュージック・ジャパンとしては音源も残っているし使用料(あるいは売り上げの何パーセントという取り決めか)さえ出せば提供するにやぶさかじゃないよ、自分たちで商売としてやる気はないけどね...というスタンスなんだな。なるほどねえ。愚痴や恨み言ばかり書いても虚しいのでほどほどにしておく。今後も今回のような入手困難とされていた作品が復刻されていくことに期待しつつ堪能させてもらおう。

機甲界ガリアン音楽集VOL.1

機甲界ガリアン音楽集VOL.1

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Triple star
  • 発売日: 2000/12/31
  • メディア: CD
機甲界ガリアン 音楽集 VOL.2

機甲界ガリアン 音楽集 VOL.2

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ディウレコード
  • 発売日: 2008/10/24
  • メディア: CD
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布施明『愛よその日まで』について [音楽]

少しばかり食傷気味ではあるけどカヴァーアルバムを発表したり、CMで代表作の一つである『君は薔薇より美しい』が使われたこともあってか、久しぶりにメディアへの露出が多い気がする。今さら言うまでもなくその卓越した声量と歌唱力で日本を代表する男性ヴォーカリストの一人だ。そういえば『君は薔薇より美しい』がCM曲として使われるのは二度目になる。最初は化粧品、今回はお茶とまったく種類の異なる商品だが。他の歌手がカヴァーしたのじゃなく、どちらも本人の歌唱(新録音だとは思うが)でというのは珍しいかも。他にもこんなケースはあるんだろうか。

『愛よその日まで』は宇宙戦艦ヤマトの映画3作目『ヤマトよ永遠に』の主題歌として発売された。布施明オフィシャルウェブサイトのdiscographyによると1980年07月05日が公式な発売日のようだ。作詞は第1作目であるテレビシリーズから一貫して手がけている故・阿久悠が、作曲は布施明本人が、編曲はこちらもヤマトシリーズを手がけ続けた故・宮川泰が担当している。当時、聴いてすぐにヤマトの主題歌だなあと感じたため、まさか布施明の作曲だとは思わず少しびっくりしたのを憶えている。朗々と「歌い上げる」という表現がぴったりくるようなスケールの大きいバラードで、映画のラストシーンに流れるとなかなか感動的だった。しかし一度は主要キャラクターを全員死なせておいて臆面もなく復活させた商魂たくましさに、さすがのファンも呆れ気味で、公開当時は「もうヤマトでもないだろ」的な受け止め方をされていた気がする。でも配給収入は13億円以上だったのか、じゃあヒット作だなあ。

自分はもう仕方がないから最後まで付き合うよ、といった心境で映画館まで行き、ちゃんと主題歌まで買ってしまったが、この曲自体のセールスは決して良くはなかったんじゃないかと想像していた。今回参考にWikipediaを見たらその年の、第31回紅白歌合戦でこの曲を歌ってたんだなあ。ちょっと意外だ、というか憶えていない。意外と感じたのはこの曲が現在まったく入手できない状態だからだ。だからこそ自分も手元に残っていたレコードから録音し直したわけだし。紅白でも歌い(もちろんそれがヒットや曲の評価を決めるわけじゃないが)、何より布施明本人が作曲した歌なんだから、何らかの形でCD化ぐらいされていて良いのに。

Amazonで検索したら『愛よその日まで』の曲名でヒットしたのはわずかに二件、ひとつは『ヤマトよ永遠に』のドラマ編、もう一つは宇宙戦艦ヤマト25周年記念企画として2000年から2001年にかけて発売された「YAMATO ETERNAL EDITION」の内、歴代の主題歌を収めたヴォーカルコレクション「File No.10 ヤマト・ザ・ベスト」だけ。どちらも今では販売中止となっている。じゃあ布施明自身のベストアルバムに収録されているだろうか。キャリアが長いだけあってベストアルバムだけでも何枚もあるなあ、でもどれにも入っていない。見落としてるかも知れないが「ありゃ」という感じだった。

うーん、ヤマトはいろいろと版権がらみが複雑そうだからな。あとは所属レーベルの問題かな。布施明の所属レーベルは現在ユニバーサルミュージックだ。この曲はキングレコードから発売されていたし、おそらく今でも出版権を持っているのはキングレコードだろう。その辺りが理由か。まさか布施明本人がこの曲をいわゆる黒歴史にしたがってるわけでもないだろうし。残念だなあ...と思っていたらそのキングレコードから2枚組の「布施明ベストセレクション」とかいうCDが2008年11月26日に発売予定になってるじゃないか。収録曲の詳細が分からないけど期待して...いいのか。素晴らしい曲なのでぜひとも収録して多くの人が聴けるようになって欲しいなあ。

布施明ベストセレクション

布施明ベストセレクション

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2008/11/26
  • メディア: CD

【2009/04/19 10:07追記】実に今さらなことだが、Amazonへのリンクを張った「布施明ベストセレクション」にも『愛よその日まで』は収録されていないことが分かった。残念。商品へのリンクはそのままにしておくけど。

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