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円居挽『丸太町ルヴォワール』 [本‐小説]

書き下ろし、しかも作者の長編デビュー作らしいが十分に楽しめた。サクサク読めるのも良かったし。

丸太町ルヴォワール (講談社BOX)

丸太町ルヴォワール (講談社BOX)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/11/05
  • メディア: 単行本

講談社BOXを手に取ったのは初めてだ。アニメも好評な『化物語』もここから出ているみたい。公式サイトのラインナップを眺めると、どんな層を対象としたレーベルなのかおおそよの見当は付くが、広義にはライトノベルの範疇と考えていいのかもしれない。以下あらすじ。

祖父殺しの嫌疑をかけられた城坂論語(しろさかろんご)は、変幻自在の論客が丁々発止の応酬を繰り広げる私的裁判“双龍会”の被告となる……容疑を解くためではなく、事件当日、屋敷の一室で2人きりの甘く濃密な時間を過ごした謎の女性“ルージュ”と再会する、ただそれだけのために……。

舞台は京都だ。いわゆる法廷ものなんだが法に基づく厳格な裁判ではなく、私的裁判“双龍会”は儀式であり娯楽でもあるという設定で、仮に法律上は有罪であっても相手を論破しさえすれば勝ち。法廷というよりも競技ディベートみたいな感覚かも。イメージとしては人気ゲームの『逆転裁判』が近いかもしれない。各登場人物の造形も程よく漫画的だし(あそこまでギャグ寄りではないが)。おかげで双龍会のシーンはとても楽しく読めた。やってることは屁理屈のこね回し合いってことなんですが。

言葉での丁々発止が繰り広げられる本作、勘のいいミステリ好きなら既にピンときてるかもしれないが、あえて分類するなら叙述トリック系というやつです。自分もなんとなく予想は付いたんだけど、ぬるいミステリ読みなもんでほとんど見抜けなかった。「おお、なるほど、そういうことか」と感心しっぱなし。最後の最後まで仕掛けがあるので楽しかったけど(やや負け惜しみ)。ミステリであると同時に“ボーイ・ミーツ・ガール”な恋愛ものでもあって、ラストは赤面しちゃうほど綺麗な締めくくりでした。

次回作も読んでみたいと思う。楽しかった。

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