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映画『ターミネーター3』 [映画感想‐洋画]

今週末からの『ターミネーター4』公開に合わせて先日テレビ放映された際に視聴した。さあ見るぞ、と気合を入れていたわけじゃなかったが、結局は最後まで見てしまった。実は結構好きなんだよなT3は。DVDも持ってたりするし(さすがにBlu-ray版まで手は出していないが)。

ターミネーター3 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: Blu-ray

ターミネーターシリーズの中ではすっかり黒歴史扱いの本作、「駄作」「作った意味が分からない」「見る価値なし」みたいな言われ方をしている。ちなみに特集を組んだトロステでも下の画像のように紹介されていた。

トロステ|ターミネーター特集

うわー、シリーズの流れから外されてパラレル扱いだ。よっぽど不興を買ったんだな。生みの親たるジェームズ・キャメロンもラストのオチには激怒したなんて話も聞くし。まあキャメロンが怒るのは分からんでもないが、存在自体を否定されるほどの駄作じゃないんだけどね。アクション映画として見るとかなりよく出来ていると思う。

成長したジョン・コナーが残念な姿すぎるとか、女ターミネーターT-Xがいまいち、特に腕に内蔵された武器はおかしいだろとか、ツッコミどころは確かに多いんだけど。あの巨大なクレーン車でのカーチェイスは一見の価値ありだし、後半のターミネーター同士がトイレで格闘するシーンとかも面白い。そしてT2のラストで残ったパラドックスを地味に解決させていたりもする(結果的には、ということだけど)。

T2のラストではスカイネットによる人類抹殺という最悪の未来、終末は回避された。運命は変えられるという希望を描いた結末だったけれど、どうしても矛盾が生じる。スカイネットが稼動しない、人類が滅亡の淵に追い込まれないということは、救世主としてのジョン・コナーもまた存在しない。どんな大人へと成長するかは別として、少なくともレジスタンス指導者としての姿ではないはずだ。ではスカイネットが彼を抹殺するためにT-800を1984年のロスへと送り込むこともなく(そもそもスカイネット自体が稼動しないんだから)、後に救世主の母となるサラ・コナーを守るためにカイル・リースが過去へ行く必要もなくなる。するとジョン生まれなくね?・・・ということに。ダイソン博士が死にT-800が溶鉱炉へと沈み未来が変わった時点で、ジョン・コナーもまた消滅しなければならない。逆に言えばジョン・コナーの存在が機械による人類の終末が訪れることの証明になってしまうのだ。うーんパラドックス。二人を引き合わせるためだけに過去へ送るという『バック・トゥ・ザ・フューチャー』パターンもありっちゃありだが、お話が変わっちゃうものなあ。

だから『ターミネーター3』のラストシーンがあの形になるのは当然で、脚本家はむしろかなりまじめに取り組んだ結果だと言えるんじゃないか。まあこれは時間SFには避けられない問題だし、おそらくキャメロンだってちゃんと分かっていたはずだ。あとは映画を観た観客がそれぞれに考えてくれればいいよと。しかしキャメロン自身が終わらせたはずの続編が他人の手によって制作される、しかもあえて放置した矛盾を解決しあの感動的なラストをぶち壊しにするというオマケ付き。無粋なまねしやがって...というのが怒った理由なんだろうなあ。

この映画が公開された2003年はソビエト社会主義共和国連邦が地図上から消えて10年以上も経っている。観客たちにとっても東西冷戦は過去のものであり、「核兵器による終末」は既にリアリティを持ち得なくなっていたはず。『ターミネーター』の物語も同様だ。止めといた方が良かったのに、と言われるのも無理はない。

さてT2の後日譚というTVシリーズ『ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ』と映画『ターミネーター4』は全く関連していないと公式にはアナウンスされている。だから上に貼ったトロステの画像もより複雑なことになっちゃうわけで。なんというややこしさ。どういう流れになっているのかはやはりどちらも観ないと駄目ってことだよなあ。そんなわけで正式な続編ってのがそもそも存在しないような状況なので、このT3だけを黒歴史などと冷遇せずに、たまには思い出してあげてくださいねと。SFアクション映画としての出来は本当に良いので。

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コメント 8

takao

ターミネーター、好きだったんですが、3は見ていないんですよね。今度、見てみようかな?
by takao (2009-06-11 21:33) 

chokusin

ponchiさん、takaoさん、nice!をありがとうございます。

>takaoさん
機会があればぜひ見てください。決して出来の悪い残念な映画じゃありませんので。T2までを見てきた人ならニヤリとするファンサービスもあったりしますし。
by chokusin (2009-06-11 22:51) 

堀越ヨッシー

はじめまして。
記事に共感するところがあったのでナイスを押させて頂きました。
確かにジェームズ・キャメロン版に比べるとどうしても見劣りがする「3」ですが、アクション場面は結構見応えがありますよね。個人的に女ターミネーターは今イチでしたが。
タイムトラベルものではどうしてもパラドックス問題がつきものな訳ですが、キャメロンがなんとなくお茶を濁していた部分を「3」であからさまにされて怒ったという指摘に、ニヤリとしてしまいました(^皿^)。
by 堀越ヨッシー (2009-06-13 18:50) 

chokusin

堀越ヨッシーさん、はじめまして。nice!とコメントをありがとうございます。

自分も「ターミネーター2」は好きな映画ですが、「ターミネーター3」を観てこれはこれでありだよな、と思いましたし、同時にどうしてこんなに評判悪いのか不思議だったもので。ご指摘のとおりアクション場面は見応えありますから、食わず嫌いならもったいないよなあと、つい応援記事を書いた次第です。
by chokusin (2009-06-13 22:37) 

きさ

3はアクション映画としてのメリハリがイマイチで、まあキャメロンと比べられると分は悪いですね。
個人的にはそれなりにまとまった映画だとは思います。

by きさ (2009-06-13 23:42) 

chokusin

きささん、コメントをありがとうございます。

そうですね、「ターミネーター」はやはりキャメロンのものですし、生みの親がこれ以上はないという完成度の映画を作ってしまいましたから。誰が手がけても続編として見た場合は残念な結果になったでしょうね。
ジョナサン・モストウ監督は堅実な仕事をしたと思ってます。アクション演出に定評があるのもうなずけるなと。
by chokusin (2009-06-14 00:37) 

腹黒い白猫

ターミネーター3はむしろ傑作の部類だと思います
ダメダメ男ほど否定してますがw
by 腹黒い白猫 (2009-07-29 13:41) 

chokusin

腹黒い白猫さん、コメントをありがとうござます。

どうしても「ターミネーター2」と比較されがちですから損をしてる気はしますね。
実際に観ると悪くない映画なんですが。
by chokusin (2009-07-29 21:36) 

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