2009-06-01 Mon S-Fマガジン2009年7月号 [本‐その他]
久しぶりにS-Fマガジンを購入した。先日、夭折した伊藤計劃の追悼特集が組まれ、第四長編(MGSのノベライズを除けば第三長編)となるはずだった遺稿『屍者の帝国』が収録されると知ったからだ。
舞台となるのはフランケンシュタインの技術が全欧に普及し、死人の労働市場がある「もう一つの十九世紀」。物語の語り部は若き日のジョン・H・ワトソン。軍医兼フランケンシュタイン技術者の彼が女王陛下の諜報員として謎を追い世界を巡る...という内容になる予定だったそうだ。もうこのプロットを聞いただけでぜひ読みたい、いや、「読みたかった」と思わずにいられない。
今回掲載された遺稿は本人曰く「試し書き」であり、完成しただろう作品には使われない可能性もあったそうだ。さしずめパイロット版といったところなのかも知れない。この後、どんな世界が描かれ展開していったのか、自分などが精一杯想像をめぐらせたところでおそらく輪郭すらイメージすることは不可能だろうし、完成されたものを読めないことが悔しくてならない。しかし自分を含めたファンにとってはこれが最新作には違いなく、たとえその一部であっても公表されたことを喜ぼう。
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