2009-05-15 Fri 映画『人狼 JIN-ROH』 [アニメ感想‐映画]
最低でも一年に一回は必ず見直してしまう映画が幾つかあって、これもその内の一本だ。年齢やその時の心持ちで違う受け止め方もあって面白い。手元にあるのはDVD版だがそろそろBlu-rayで買い直そうかしら。
アメリカが参戦しなかった第二次世界大戦、日本はイギリスと同盟し枢軸国(ドイツ・イタリア)と争うも敗戦、ドイツによって占領された、というもう一つの戦後、あり得たかも知れない昭和37年を描いた歴史改変モノであり、同じ世界設定で描かれる「ケルベロス・サーガ」の一本なんだそうだ。本来なら脚本を手がけた押井守自身が監督も努めるのが妥当な気もするが、そうしなかった理由や経緯はよく知らない。その分、押井色はいくらか薄まっているのかな。熱心な押井ファンならその辺りを上手く説明できるんだろうけど。
いわゆるリアル系作画の一つの到達点と評価されてもいるとおり、人間の所作を可能なかぎり自然に再現しようとしている。それも手描きで。手っ取り早いのは『APPLESEED』や『ファイナルファンタジー7 アドベントチルドレン』のようにモーションキャプチャを用いる手法だろうが(もちろんこれにはこれで相応の手間はある)、どうしても違和感があるからなあ。まあディズニーが『白雪姫』等で用いたロトスコープと考え方は同じで、生身の役者さんの動きをそのままトレースするってことだが、必ずしも「リアルさ」が実現されるわけじゃないし。上手いアニメーターが描いたタイミングには間違いなく負ける。もう一つのポイントは「脚アニメ」でもあるということ。萌えというよりもフェティッシュだ。それも筋金入りの。
興味があったら下のリンク先を読むと面白いですよ。主に作画に関しての濃い話題ですけど(『人狼』に関する部分を抜きましたができれば頭から全文で)。
【WEBアニメスタイル】
WEBアニメスタイル_アニメの作画を語ろう_animator interview沖浦啓之(5)
WEBアニメスタイル_アニメの作画を語ろう_animator interview西尾鉄也(3)
WEBアニメスタイル_アニメの作画を語ろう_animator interview井上俊之(4)
音楽に関してもすごく良くて、特にエンドクレジットとともに流れる曲が映画の結末をより引き立てる。この曲は前半にとても美しいヴォーカルパートがあり、歌っているのはガブリエラ・ロビン(Gabriela Robin)という女性だ。一説によるとこの女性は『人狼』の音楽を担当した溝口肇の奥方、菅野よう子なんだそうだ(公然の秘密というやつらしい)。かなり有名な話なんですかねこれ。
【YouTube - grace~Jinroh Main Theme~omega】
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