2009-03-10 Tue TVアニメ感想（『VIPERS CREED』第9話）

録画分の消化。

VIPER'S CREED [公式サイト]

第9話を視聴、前回ウラとテレジアの共謀が明らかとなりハルキがその犠牲となった。サイキたちヴァイパーは地下組織ハウンドの制圧を再度命じられ成功するものの不可解な軍の介入もあって釈然としない。しかしそれは周到な罠であり、彼らがハウンドメンバーを虐殺する瞬間を収めた捏造ビデオが公開され、そればかりか一連の爆破テロもまたサイキたちの自作自演だったと報じられる。散り散りに逃亡を余儀なくされ同僚たちからも追われるサイキたち。四面楚歌の中、サクラコにウラの配下であるはずの天才ハッカー、アゲハがコンタクトを取ってくるのだが...。

敵の謀略によって窮地に立たされた主人公たちが、いかに反撃し逆転勝利を収めるか。クライマックスに向けて盛り上がるはずなのに見ているうちに自分の中の熱さはどんどん失われていく。臨界に達するどころか制御棒を突っ込まれたような気分になるのはどうしてかなーと考えてしまった。答えは簡単、以前の感想にも書いたけど「アルコン社とサイキたちユニットヴァイパーが市民から寄生虫のように嫌われる理由」がいまひとつ弱いからなんだよなあ。アルコン社は民間軍事会社でその業務は専らハイウェイ上の残留無人兵器掃討だ。実際あの街には警察も軍もあるわけだし分業しているんだろう。しかし警察や軍って普段は何してんのかなーと。

舞台となる街は高層ビルが立ち並びおそらく中流層以上が生活する中心部と、海面上昇等で水没が進み都市機能も低下（土地の価格も下落してるだろう）、下流層が暮らすいわば旧市街が対比されている。しかしどちらも治安が極端に悪くは描かれていないので、警察って普段そんなに忙しくないんじゃないのと。軍に関しても同様で、物語の中で具体的に戦争に関する描写は全てサイキたち主人公の過去としてだけだ。確かに軍隊と言えどもしょっちゅう戦争してるわけじゃないし、大戦終結後という設定だが紛争も変わらずあるだろうが。でも市民からすればお前らもっと仕事しろよ、とならんかね。警察や軍が残留無人兵器掃討もやればアルコン社いらねーじゃんと。批判の矛先はアルコン社だけじゃなく警察や軍にも向くんじゃないのかな。

また、アルコン社が業務を請け負うために不正を働いた、例えば贈収賄によって便宜をはかってもらったとか。それによって地元企業を締め出したとする。事実ではなく噂レベルであっても市民の間ではそういう認識が浸透していて、それが反感の理由にもなっていると。この場合でも批判はアルコン社だけでなく、むしろ便宜をはかった方、市長や行政機関の方が風当たり強くならんかなあ。第3話のように市民にも被害が及ぶケースもあるが、あれにしたって事故だからな。仮に同様の事故が頻発して訴訟とか起こされたとしても、アルコン社くらい大きい企業なら優秀な法務部がありそうだし負けないだろ。それ以前に金で示談に持ち込むだろうし。

過剰なくらいに市民から反感を買っていることがどうしても納得いかないので、今回のラストでウラが被害者面してサイキたちを悪者に仕立て上げたシーン、あれが違和感ありまくりなんだ。どんなに反感を抱いていたってサイキたちは犯罪者じゃない。反対にウラたちハウンドって組織は爆弾テロの実行犯と思われていたわけだ、真偽はともかく犯行声明だって出ていたし。それが記者会見で自分たちは犯人じゃない、この街を良くしたいという理想を掲げて活動してるだけで誤解なんだと、アルコン社のユニットヴァイパーこそ真犯人だと発言した。信じられるか? それ。自分があの会見をニュース等で見ていたら「嘘くせえ」としか思わんわ。でも物語の中で市民はウラのアジに簡単に乗せられ「やっぱりユニットヴァイパーが犯人だったのか、最初からそう思ってたぜ」という反応しかしない。見せ方としてバランスが取れていないんだよなー。

こちらが読み取れていない可能性は否定しないが、やはり描写が足りてないように思える。「実はこんな裏設定が...」とか「あの台詞はダブル・ミーニングで...」みたいなDVDのコメンタリーよろしく全部説明せよとは言わないけどさ。ほんの少し、チラ見せ程度でいいんだけどな。あとは勝手に溢れんばかりの妄想力で補うから。そしてスタッフインタビューや自分とは比べ物にならないほど鋭く深く考察している他人のレビューを読んで、「ああ俺って的外れ過ぎ、恥ずかしい」と頭抱えて悶えるのも楽しいし（オタクってそんなもんだから）。

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