2008-11-16 Sun とよ田みのる『FLIP-FLAP』 [漫画]
こんなの出てたのかと思いつつ、作者の前作『ラブロマ』が好きだったので手に取った。またレアな題材持ってきたなあ。コミックスの帯には世界初(?)のピンボールラブコメ!!
と書かれている。最近はすっかり足が遠のいたけどゲームセンターやボーリング場なんかには普通に設置されていたし、ひやかし程度には遊んだことはあるかもしれない。でもピンボールってこんなにも奥が深いゲームだったのかと感心してしまった。
高校の卒業式が終わったあと、ずっと片思いだった女の子に意を決して告白したら、あっさり「いいですよ」の返事。しかし彼女はある条件を出す。彼女の馴染みのゲームセンター、そこに設置された一台のピンボール。それに刻まれたハイスコアは、いまだ誰にも破られたことがない。「この得点を超えること。それが私の条件です。」
憧れていた彼女は、ピンボールを「私がこの世で一番大切に思っているもの」なんて真顔で言い切る、ちょっと変わった女の子だった。ピンボールに傾ける彼女の情熱をさっぱり理解できない主人公。実はヒロインに惚れてる彼氏候補は主人公以外にも大勢いて、みんな条件をクリアできずにゲーセンの常連さんになってたり。そしてヒロインと同じように本気なのだ。
「あのハイスコアを出した人間はバケモノです。そこにつぎ込まれた労力、努力を考えると私の心が震えるのです。何の見返りもないのに、無意味なのに、孤独なのに。あのハイスコアを出したような人間こそ...私の理想なのです。」
半分も理解できず戸惑いながら、主人公は思う。彼女は顔も知らないハイスコアラーに恋をしている、と。微妙にずれてる気がしないでもないライバル心がきっかけで、本気モードに突入した主人公は、いつしかピンボールの奥深い楽しさに魅入られていく...。まるで熱血漫画のような書き方になったが、まあそんな要素もちょっぴりはあるかな。いずれにしても青春してんなあと。
絵柄は少しくせがあるけど親しみやすさもあるので取っ付きにくいわけじゃない。王道なボケツッコミスタイルの笑いどころも嫌味がなくていい。裏話を描いたおまけ漫画によると、気合入れたネームが没になり、やけくそでその時一番はまっていたピンボールを題材にしたら採用になった...らしい。楽しい作品でした。
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