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完全に「非実在」ではないから悩ましい [雑記]

別記事についたコメントとトラックバック先の記事に触発されて書いてみた。自分の中でも未だよくまとまっていないかもしれない。メモ代わりでもあるのでお目汚し失礼。

オタクにとっては事の成り行きから目が離せない問題である東京都青少年保護条例改正案、その中に登場する「非実在青少年」という言葉だが、個人的には正確ではないと考えている。強いて言うなら「半実在青少年」となるか。別に言葉遊びをしたいわけではなく、至って真面目な話だ。なにしろ対象とされるのが漫画、アニメ、ゲーム等の具体的な画像・映像に限られ、小説は該当しないそうなので。

なぜ小説に描かれる青少年は規制の対象とされないのか。どんなに性的に、暴力的に、残虐的に描写されようと読み手の頭の中にしか存在し得ないからだ。それを取り出して誰の目にも触れ得る形で提示することができない以上、まさしく「非実在」な青少年でしかない。対して漫画等に描かれたビジュアルは違う。立体として手に触れることは適わないが像としては存在する、「半実在」な青少年が眼前に立ち現れる。

今回の条例改正案への反論の中に、対象となるのはなぜアニメや漫画だけなのか、非実在青少年(18歳未満)の規定に則れば『源氏物語』や『ロミオとジュリエット』といった古典における性描写も対象になる。ではそれらを漫画化したものは子供に見せられないのか、規制の線引きがあいまいだ、というものがある。まさにそこなのだ、漫画(あるいはアニメ)になった瞬間に可視化されてしまうからこそ問題とされやすい。極論だが年端も行かぬ子供への酸鼻を極める行為を想像しようが、自分の頭の中に留める限りそれは内心の自由でしかない。小説に書き表されたシーンを思い浮かべることも同様と言えてしまう。

仮に漫画等ではなく人形、ドール、フィギュア、あるいはダッチワイフであったらどうか。人間の似姿として作られながらその身に命を宿さない物に懸想する様子は、周囲からどのように見られるだろう。漫画やアニメに描かれるキャラクターもまた命を持たぬ似姿だ。それらに惜しみない愛情を傾け時に劣情すら抱く。そんな我々オタクの言動はさぞかし奇異に映るのではないか。全面的に肯定してくれとは言わない。だが性犯罪者と同一視され断罪されるいわれもない。ゲテモノ食いである(とみなされる)ことは誰よりも自分が分かってる。できればほっといてくれ。これに尽きるかもな。

※参考リンク
2010年3月29日に放送されたBSフジ プライムニュースの特集を分割してYouTubeにアップされたもの。
⇒【「漫画の規制はどこまで必要か 都の青少年健全育成条例改正の是非」


ここからは蛇足気味。以前、別記事についたコメントへ返答したものを再掲しておく。漫画やアニメ等の、特に性愛に関する表現についての私見です。

ラブコメのその後、あるいは「恋愛の先にある性愛」、これは至極当然のことで、それゆえに重要な部分ですよね。確かに少年漫画やアニメはこの点で少女漫画より遅れていると自分も感じます。一般誌での掲載、アニメであれば地上波での放送という部分で描写に限界もありますが、何もポルノ的な描き方をする必要もないですしね(受け手側がそれを期待している場合であっても)。

以前(20年以上昔です)、『翔んだカップル』の実写映画でメガホンを執った故・相米慎二監督が、劇中で主人公が三角関係中の女生徒の家から朝帰りするシーンで(言葉は悪いですが)「やったのか、やってないのか」をはっきりと見せることが重要で、たとえアイドル映画であっても誤魔化すべきじゃない、という趣旨の発言をしていました(まあ原作漫画自体が踏み込んだ描写をしていましたが)。アニメでもOVA『メガゾーン23 part2』の中で主人公たちのかなり激しいセックスシーンがあり、作画監督を務めた梅津泰臣は「食事をするのと同じ意味で当たり前のこと」であり、特別なことですらないと発言しています。

ラブコメの先、たとえばセックスを当たり前の行為として(扇情的にならず)描くことや、妊娠や出産、あるいは破局等の関係の終焉も描くべきと自分も考えます。そうすることで表現のステージは上がるような気がするんです(作品のターゲットにもよりますけど)。

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コメント 6

takao

私も,そのコメント返し読んで,いろいろ考えたのを思い出しました。

結局愛が最終的に行き着く先は,セックスに当たるんですよね。
それは,青少年でも年寄りでも変わらないところではないかと。
セックスが書けないと,人間が書けていない,とよく言う,有名な困ったおじいさんがいますが,小説ではそれが描くことが求められ,漫画だと制限される,と言うのがよく分かりませんね。
結局,性教育が進まないように,この国では性を取り扱うことに敏感すぎるのではないか,と感じたりしました。
扇情的に,とか,エロティシズムの追求,とかは違うと思いますが,それらも当然取り扱われるのが,自然な気もしますね。

まぁ,自分で何を言っているのか分からなくなってきましたがw
好きなものは好きだからしょうがない!!と言うことで,害悪にならない程度であるのならば,自由にさせて欲しい,と言う気がしますね。
by takao (2010-04-03 23:21) 

tasuchan

空想におけるセックスや残虐表現なんて文章も漫画もアニメもCGも一緒でしょうに。
 ビジュアルかされたものの方がダメで文章が問題無いなんていっていたらそのうち文章も規制さえますよ。
 大体、未成年に殿程度までの表現で制限するかどうかで決めればよい事ですし、漫画やアニメや映画のセックス表現や暴力的表現を見て犯罪に走るなどと言うのは犯罪者の責任回避か、原理主義的モラル主義者の口実にしかすぎない。
 勿論、実際の影像で未成年のセックスを映像化したら現実の人物がおりその人権上や保護義務的問題でだめだと思います。
 児ポルノの件は欧米で非情に敏感ですが、日本では成人の性器の影像自体がご法度、グローバルな世界というなら矛盾しますね。(無修正が見たいからととらないで下さいね、そんな意味は無い、と 思う。)
 なにを言っているのかわからなくなりましたが、最後に結論として、成人向けでない普通の日本のアニメ 漫画での性表現なんてまったく問題ないと思います。
by tasuchan (2010-04-04 10:22) 

chokusin

>takaoさん
コメントありがとうございます。
小説家をはじめ、文筆業に携わる人は怒っていいと思いますよ。要は小説等の文章・言葉には“青少年の健全な成長を阻害するおそれが”ない、そこまでの影響力は無いと見くびられてるわけですからね。
皮肉はさておき、性を取り扱うことに敏感すぎるのではないか。これはおっしゃるとおりだと思います。過剰にタブー視するのは逆に事を歪めてしまうんじゃないかと。

>tasuchanさん
コメントありがとうございます。
ビジュアル化されたものの方がダメ、というのは自分の類推でしかありませんが、小説は対象外とされる理由がそれ以外に思い浮かばないんですよね。短絡的だなと思います。おっしゃるようにこれが端緒となって小説等の文章も規制対象にされるだけでしょうね。
実在する未成年を出演させるもの(それこそが児童ポルノだと思うのですが)を取り締まるのが先だろうにな、と思うのですけれどね。
by chokusin (2010-04-05 21:01) 

chokusin

takaoさん、DEBDYLANさん、xml_xslさん、shinさん、「直chan」さん、
takemoviesさん、tasuchanさん、toramanさん、kotobukimaruさん、相楽さん、
ブラザーボブかきもとさん、月夜さん、パセリさん、ponchiさん、
nice!をありがとうございます。まとめてのお礼ですみません。
by chokusin (2010-04-05 21:07) 

chokusin

>04/10 07:37に拍手コメントをいただいた亀島YOUZOHさん
どうもありがとうございます。過分なお褒めをいただき恐縮するばかりです。
またお立ち寄りください。
by chokusin (2010-04-11 11:27) 

chokusin

ミナモさん、アロンダイトさん、genpatiさん、kakasisannpoさん、ritton2さん、
遅くなりましたがnice!をありがとうございます。まとめてのお礼ですみません。
by chokusin (2010-04-11 11:30) 

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