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映画『涼宮ハルヒの消失』 [アニメ感想‐映画]

観てきた。自分は『消失』も含めた原作は一冊も読んでおらず、TVアニメでしか『ハルヒ』シリーズを知らないが、最後まで一切の中弛みもなく満足度はかなり高かった。SF映画、青春映画、あるいは恋愛映画、どの観点から見ても良く出来てるなーと思うし。アニメシリーズの集大成として、すごく豪華な最終回を見せられた気分です。ちょっと感想などを、最初は当たり障りのないところから。

上映時間がほぼ3時間(俺のライフ(尻の)はもうゼロよ!)

長い。覚悟は出来ていたがそれでも長い。あまり映画館に行く機会がない人(の尻)には優しくない映画だ。だが最後まで全然退屈せずダレもしなかったので精神的な苦痛はない。自分の場合、原作を未読で先の展開が分からないことは逆にラッキーだった。老婆心ながらドリンク類を買って観ながら飲むというのは避けたほうがいいかも。また、上映前にトイレは必ず行っておくべし。たとえ尿意が無くても絞り出す!ぐらいの勢いで(おトイレが近い人は特に)。限界だったのか途中退席した人も何人かいたので。その場でお漏らしするよりマシだが、他の観客にも迷惑だからね。ワシの膀胱は108リットルまであるぞ、というなら別ですが。

作画に関して(あるいは「キョンの野郎、もげてしまえ!」という怨嗟)

文句なし。素晴らしい出来映え。映画の大半が日常描写だが、高品質なアニメートに支えられると派手なアクションが無くともこんなに心躍るものなのか。細かい部分までとにかくよく動く。普通なら止め絵で処理するようなモブ(クラスメートとか)まで徹底的に芝居をさせる。いわゆる作画崩れもほとんどない(エンディング間際に1シーンだけ微妙な部分があったのが惜しまれる、他が良すぎて逆に目立つ)。そんなことより長門さんがマジやばい。なにこの可愛い娘さん。文芸部の本好き少女モードはあざとさも目立つが「長門は俺の嫁」と叫ぶのも頷けるすさまじい破壊力だ(個人的には無表情モードの方が好きかも)。もう一方のヒロインであるハルヒもすげー可愛い。普段と違う制服と髪型のハルヒは新鮮でした。いいよなーキョンは。

音楽とか主題歌とか(身じろぎせずにEDテーマに聞き入る観客たち)

これに関しては自信を持って書けない。聞き覚えのある曲も幾つかあったが、『ハルヒ』シリーズのBGMってあまり印象に残ってないんだ俺。劇伴としては過不足の無い仕事だと思うけど。エンディングテーマ(主題歌)は、ほぼアカペラに近い。歌というよりある人物の呟きみたいなものか。あ、主題歌と共にエンドクレジットが終わると、その後にもう1シーンあるので最後まで席を立たないように。

その他いろいろ

物販は一つも買わずパンフレットだけ確保、マウスパッドシールが入っていたが一部1000円は高えな。メンズデー等なら映画がもう一本観られる。来場者キャンペーンの特製メモパッド(パンフの表紙と同じ図柄、中身は普通のメモ帳)はチケットのもぎりの際、当然のように渡された。初日で無くなるのかと予想してたが、結構な数を用意してあったのか。劇場によって違うかもしれない。

ここから先はもう少し突っ込んだ感想を(ネタバレあり、かも。原作ファンにはいまさらですが)。


ファンがアニメ化を待望して止まなかった『涼宮ハルヒの消失』だが、その理由、皆はこのエピソードに何を仮託したんだろう、という疑問や興味を観賞前から抱いていた。そして観賞後の率直な感想は「ああ、みんな「学園エヴァ(ハルヒ版)」が見たかったのだな」というものだった。ごく普通の少女として描かれた長門さんがとても魅力的だったために勝手に自分たちの妄想を託してしまったのかもしれない。おそらく原作者である谷川流の思惑とは別な方向で。

この映画をキョン視点で観るか長門さん視点で観るかで印象はかなり異なる。上に書いた「ファンが仮託した妄想」は長門さん視点になるだろうか。劇中、キョンのモノローグとして語られた「長門さんがなぜ“セカイ”の改変を行ったのか」という動機の部分、額面どおりに受け止めればハルヒの尻拭いに疲れた彼女のちゃぶ台返しなわけだが(正確にはイレギュラーの蓄積によるバグか)。それを平穏な日常を求めた結果として見ずに、長門さんのキョンに対する秘めた恋心として解釈し、その切なさに(勝手に)萌えてしまったということだ。その一つの形は先日取り上げた漫画『長門有希ちゃんの消失』だろう。

他の作品を引いて何かを述べることはあまり良いことではないし、安直で陳腐な連想とは思うが『涼宮ハルヒの消失』はゼロ年代の『ビューティフル・ドリーマー』だなとも感じた。キョンが諸星あたる、ハルヒがラム、長門さんは夢邪鬼であり、もう一人のラムだ。そして夢邪鬼の作り出した夢はファンの夢でもある。夢のセカイに留まるか、本来の日常に帰るかの選択においてあたるはラムを選んだが、キョンもまた最初からハルヒしか求めていない。彼が恐慌をきたし狂おしいほどに捜し求めたのはハルヒの姿だ。仮に長門さんがキョンへの恋心を秘めていたとしても勝ち目はなかった。夢のセカイを喰う獏、緊急脱出プログラムを起動させる以外の選択肢はキョンにはなかったはずだ。キョンお前、どんだけハルヒが好きなんだよと。『ハルヒ』シリーズに馴染みの薄い自分はかなり驚かされたし、同時にキョンがハルヒや彼女の巻き起こす騒動を真正面から受け止めるぜと、いわば主人公としての決意表明をする点が個人的には嬉しかったかな。

ちょっと疑問が。序盤で文学少女モードの長門さんに初めて対面した際、キョンは内心で情報統合思念体にツッコミを入れる。部屋の片隅で読書に耽るんじゃなく、クラスの人気者になれるようなもっと明るい性格に設定すればよかったのにと。それを踏まえるとですね、あの文学少女モードのパーソナリティは誰が設定したのかなーと。改変者は長門さん本人だから自分で設定した、と考えるのが妥当だが。そこにファンが妄想を託す余地もあったんだろうな。ほら、あれが長門さんの理想、夢の姿なんだよ、萌えるぜ!みたいな。気持ちは分からんでもないが。他所で見かけたんだが、恋愛映画として見るとラストシーンは「お前を全力で護るぜ、でも俺自身にそんな力は無いから俺のカノジョに頼むけどなっ」という正に外道!な告白だよね・・・という意見があって妙に納得してしまった。確かにね、恋愛もの(長門さん視点)としてはかなり歪になっちゃうよな。

すっかり長くなった。『ハルヒ』シリーズに一度でも触れた人なら見ておいて損は無いと思います。

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ぶさいくたろう

気になってきました。
by ぶさいくたろう (2010-02-10 21:54) 

chokusin

>ぶさいくたろうさん
興味がありましたらぜひ、上映期間が短いのでお早めに。
シリーズの人物相関などを知らないとピンとこない部分もありますが。
逆にご存知でしたら楽しめると思いますので。
by chokusin (2010-02-11 00:26) 

chokusin

ブラザーボブかきもとさん、Lunamariaさん、「直chan」さん、はっこうさん、月夜さん、
ミナモさん、takemoviesさん、kotobukimaruさん、xml_xslさん、shinさん、
ぶさいくたろうさん、アロンダイトさん、takaoさん、nice!をありがとうございます。
まとめてのお礼ですみません。
by chokusin (2010-02-11 00:29) 

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