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映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 [映画感想‐洋画]

レンタルで視聴、167分という尺は確かに長いんだが最後まで飽きずには観られた。しかしアカデミー賞で13部門にノミネートされるほどの映画か、と問われたら少々微妙な印象だ。

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同じ脚本家が手がけた『フォレスト・ガンプ/一期一会』と比較されがちだが、もっと真面目(というのもなんだが)な作品かなと思う。年齢を重ねるごとに肉体は逆に若返っていく、というこの映画の肝とも言える設定を取り除いてしまえば、ある男の80年にわたる一代記というシンプルな物語になる。『フォレスト・ガンプ』は多分に『ほら吹き男爵の冒険』的要素も含まれている気がするし。アメリカの近代史のそこかしこにフォレストはいたんだよ、という大ぼらを特撮を駆使し、時には実際の記録映像すら用いて観客に追体験させる。それに対して『ベンジャミン・バトン』にはそこまでの映像的お遊びはない。架空の人物を映画の中に実在させるという点は共通でも、オスカーを視覚効果、メイクアップ部門で受賞した技術はこけおどし的な使われ方をしていないから。

幼少時、他の人たちとは違う自分に戸惑うベンジャミンにかけられる「誰しも最後にはまたオムツをするようになるんだから」という台詞は印象的。他には初体験にまつわるエピソード、どう見ても老人なのに中身は15歳くらいだから「童貞です」と答えて相手が「マジかよ?!」となるとか、実年齢と見た目とのギャップにまつわるユーモラスなシーンもところどころに配してあり楽しかった(そっち系のお話ばかりじゃないです、念のため)。

年齢と肉体が釣り合う壮年期、一生の中ではごく短い数年間、運命の人であるヒロインとベンジャミンの人生は寄り添い、あるトラブルをきっかけにまた離れていくことになる。この一連のシーンは見せ方も凝っていて映画全体でも特に印象に残った。先にも書いたが「ある男の80年にわたる一代記」として真面目な大作に仕上がっている。だがもう少しこじんまりとした小編として、尺も2時間程度に収めてくれた方が良かったのかなとも思う。とはいえ、ラストはしみじみと考えさせられる締めくくりで満足感はあります。未見でしたらぜひ。

ちなみにこの映画には原作に相当するF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説があるそうだ。映画の公開に併せてか、他の未訳作品も収録した短編集が刊行されています。

ベンジャミン・バトン  数奇な人生 (角川文庫)

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