2008-10-25 Sat 『ミミズ天使』 [漫画]
フレドリック・ブラウンの短編小説で作品集『天使と宇宙船』に収録されている。主人公がある日庭先でミミズを掘り返したところ、そのミミズは天使虫になって空へと上っていってしまう。それ以来身の回りに不可思議なことが続き、主人公はそこにある一定の規則性を見出し、半信半疑ながらも事態の解決を図るのだが...というのがあらすじ。かなり有名な作品らしいけどネタばらしになってもまずいので詳しくは書かないが、英語じゃないと面白さが伝わりづらいよなあと思う。実はこの作品に触れたのは原作小説ではなく波津彬子により漫画化されたものが最初だった。
かなり昔に歯医者の待合室にあった雑誌に掲載されていた。通院中、何度も読み返したほど面白くてずっと記憶に残っていた。確かマンガ少年だったと思うんだが(同じ号にはふくやまけいこの短編『何がジョーンに起こったか』も載っていたような...)、漫画雑誌としてはかなりマイナーなマンガ少年がどうしてあの歯医者に置いてあったのかは未だに分からない。他には少年ジャンプとかいわゆるメジャーな雑誌もあったし、比較的長い期間通院していたけれどマンガ少年はその一冊だけ、最新号が用意されることはなかった。
その後、ふとした際に思い出しては肝心のタイトルや作者名が分からず、探し当てることが出来ずじまいだった。しかし今は本当に便利だなあと思う。印象に残っていたキーワード「天使虫 Angelworm」で検索したらあっけないほど簡単に分かってしまうんだから。原作は冒頭にも書いたが創元SF文庫『天使と宇宙船』に、そして波津彬子による漫画版は講談社漫画文庫『フレドリック・ブラウンは二度死ぬ』にそれぞれ収録されている。
漫画の方は講談社漫画文庫以前に朝日ソノラマから出版されていたものが長く絶版になっていた、ということも分かった。そうか、やっぱりあの時読んだのはマンガ少年で間違いなかったのか。久しぶりに読んでみたくなったし、この機会に原作小説も併せて入手するのもいいかもなあ。
【2008/10/25 22:00追記】すっかり記憶違いをしていたようで、自分が読んだ雑誌はマンガ少年ではなく、同じ朝日ソノラマから刊行されていたデュオという雑誌の方だった。『ミミズ天使』が掲載されたのは1983年7月号で、同じ号に掲載されていたふくやまけいこの短編は『ウィニーメイの夢』が正しいようだ。お恥ずかしいかぎり。これじゃあ長いこと探し当てられないわけだ。
何気なく、「ミミズ天使」という言葉をぐぐってみたらこのブログをみつけました。
自分は、30年位前に、フレドリック・クブラウンの短編集を結構読んでいて、この「ミミズ天使」はお気に入りだったりします。
で、デュオに連載されていた、漫画版も読んでいて、コミックスも買っていました。
ただ、十数年前に引越しをした際にブラウンの短編集を含む、かなりの量の文庫本とコミックスを処分したので、今は手元にありませんが。
で、この作品の肝は、昔の新聞に用いられていた、印刷機と輪転機の誤植になるわけですね。
天国に人の人生をつかさどる、印刷システムがありそれに誤植が発生して、anglewormがangelwormになってしまったと。
この作品を現代風にリメイクすると、メールの誤変換でとんでもないことが起こってしまうという設定になりそうですね。
ただ、これはすでにスティーブン・キングが「神々のワードプロセッサ」という作品で書いているはずですけど。
あと、ブラウンの作品では「大失敗」とかも、お気に入りだったりします。
by 我無回 (2012-07-21 04:40)